妊婦健診 ─ 「100%助成」の裏にある見えない自己負担
政府は妊婦健診の標準的な自己負担をゼロにすることを目指しています。全国100%の自治体が14回以上の公費助成を実施し、91.9%が国の示す検査項目を公費負担── 数字だけを見れば十分な体制に見えます。
しかし現場の妊婦さんからは「想像以上にお金がかかる」「毎回いくらかかるか分からず不安」という声が後を絶ちません。福田議員はこの「数字と実感のギャップ」に切り込みました。
自己負担が生じる理由は2つ。①公費負担額の地域差(神奈川県8万159円 vs 福島県13万6,147円)と ②国が示す検査項目を超える検査の実施。人によっては10万円以上の「持ち出し」が発生している。
特に深刻なのは追加検査の実態です。福田議員が示した令和4年度の調査によると、59%の医療機関で追加検査が「原則実施」となっており、さらに約2割では事前に費用の説明すらなされていません。
100%の自治体がしっかり公費負担をしているとある中で、現場の妊婦からは自己負担が大きいという声が聞こえる。この現在の妊婦健診に関する課題は何でしょうか?
医療機関の価格設定と市町村の公費負担に差が生じて、妊婦に自己負担が生じているという課題がある。国として初めて標準額を設定し、自治体と医療機関の双方に標準額を勘案するよう求め、価格やサービスの内容の見える化を図る方向で準備を進めている。
福田議員は「全国一律無償化」に賛成しつつも、医療機関が標準額の設定で不利にならないよう「産婦人科が設備投資にかけている費用を丁寧に精査してほしい」と求めました。高性能な超音波機器の導入コスト、都市部の土地代や人件費── 単に金額を押さえるだけでなく、医療提供体制を守りながらの改革が重要だと訴えました。
OTC類似薬と薬剤師 ─ 「軽い病気は薬剤師と治す」
OTC類似薬(ドラッグストアで買えるOTC医薬品と同成分・同効能の処方薬)の自己負担見直しが議論されています。福田議員はこの改革を「医療費削減」にとどめず、もっと大きな価値を見出すべきだと提案しました。
OTCでのセルフメディケーション推進は、①近所のドラッグストアで便利に入手でき、②薬剤師の知識で安全に最適な薬を選べ、③診察料・処方箋料・待ち時間が不要になる── 国民にとって三拍子揃った改革になりうる。
薬剤師さんと薬を選ぶ。私は薬剤師さんと軽い病気を治す、ここまで目的を設定できると思っております。
── 福田徹 議員よく指摘される「セルフメディケーションの推進が重症化や見逃しにつながる」という懸念について、福田議員は「海外を含めてそのような研究結果や事例報告は見つけられなかった」と述べ、根拠に基づいた議論を求めました。今回のOTC類似薬の自己負担見直しを機に、実際に重症化事例が増えるかどうかの検証を行うことで、「なんとなくの不安」を払拭し、薬剤師の職能拡大につなげたい考えです。
健康増進支援薬局の認定制度が創設された。薬剤師の資質向上のための研修費用なども計上しており、薬物治療の質と安全性の確保、地域住民の健康の支援にご貢献いただきたい。しっかりバックアップさせていただく。
人づくりこそ国づくり。我が国は人の能力を抑える政治をしてはいけない。人の能力を高めてそれを最大限生かす政治を実現したい。
── 福田徹 議員外来診療の包括支払制度 ─ 量から質への転換
日本の外来診療は「出来高払い」── 提供した医療サービスの量に応じて報酬が支払われる仕組みです。福田議員はこれを、提供した医療の質に対して支払われる制度に変えられないかと問いかけました。
出来高払いは「医療を提供すればするほど儲かる仕組み」。国が診療報酬を下げると、医療機関は量で補おうとする── その結果、日本の医療は薄利多売のビジネスモデルになっている。受診回数・検査回数は海外と比較して多い。
福田議員は「この制度で医療機関の収入を下げたいとは全く思っていない」と明言。むしろ必要な医療を正しく届けている医療機関には今より多くの収入が入るべきだと訴えました。包括支払制度では、登録患者数に応じた定額報酬が支払われるため、不要な検査や投薬を増やすインセンティブがなくなります。
懸念される「過小医療のリスク」に対しては、①適切な医療を提供しない医療機関は患者から選ばれないこと、②ガイドラインに沿った望ましい医療を提供する医療機関に高い報酬を払うペイフォーパフォーマンス(成果報酬型)の導入で防げると主張しました。
1日100人患者さん診るのは本当に大変。1日30人、本当に必要な診療をすれば十分な診療報酬が得られる制度であってほしい。そう願っている医師もたくさんいます。
── 福田徹 議員人生会議(ACP) ─ 本人の意思を「空気」で飛ばさないために
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)── 通称「人生会議」。人生の最終段階における医療やケアについて、本人が家族や医療者と事前に話し合うプロセスです。国民民主党はその制度化を政策として掲げています。
福田議員はまず「人生会議は医療費削減のためではなく、本人が望む最後を迎えるためのもの」と明確に位置づけました。救急医として多くの最期に立ち会ってきた経験から、現場の切実な実態を語りました。
人生会議を「よく知っている」国民はわずか5.9%。93.6%が「知らない」現状。そして数少ない「本人の意思」があっても、それが実現されないケースが山ほどある。
高齢者施設の入所者で、蘇生を望まない意思を示している方が夜間に心肺停止。夜勤スタッフはパニック── 書面があったはずだが見つからない。見つかっても「本当に救急車を呼ばなくていいのか」と責任を恐れる。施設長に電話しても夜中で繋がらない── こうして本人の意思があっても実現されないケースは山ほどあります。
医療者側も容易ではありません。現在、4学会合同で「救急・集中治療における生命維持治療の終了・差し控えに関するガイドライン」を作成中ですが、学会のガイドラインには法的な担保がありません。本人の事前指示があっても、突然現れた遠い親戚が反対したり、リスク回避の空気が支配したりして、「これくらいやっておこう」と本人の意思から外れた医療が行われることが日常的に起きています。
本人の意思がその時の空気で飛ばされてしまうんです。空気で飛ばされないように本人の意思を支えられるのは、もう法しかないと思うんですよね。
── 福田徹 議員事前の書面に対して賛成は約7割だが、法律で定めることへの賛成は2割、「定めなくてもよい・定めるべきでない」が約5割弱。国民の理解・合意がまだ十分でないと考えている。ただ、現場の実態を踏まえてどういったことができるのかはしっかり検討する必要がある。
福田議員は「法制化に向けて国民の思いがまだそちらを向いていない事実は理解している」としつつも、「いずれは必要になることは間違いない」と述べ、国・国民・医療者が力を合わせて進むべき方向性を示しました。