質疑者:森 洋介
AI要約レポート
3行要約
- 森議員は、カーボンプライシング制度設計における排出量削減目標との整合性、炭素価格水準の予見可能性、排出量取引制度の排出枠割当方法について政府の見解を質した。
- 政府は、カーボンプライシングによるGX投資促進と経済成長の両立を目指し、炭素価格の上限・下限設定や排出枠割当において、産業構造審議会での議論を踏まえ慎重に検討する方針を示した。
- 森議員は、排出量取引制度がNDC目標達成に貢献するよう、環境省が経済産業省と連携し、制度の見直しに積極的に関与することを求めた。
1. 概要
本レポートは、2025年5月9日に衆議院経済産業委員会で行われた、国民民主党の森洋介議員によるカーボンプライシングに関する質疑応答の文字起こしテキストを要約したものです。森議員は、GX(グリーントランスフォーメーション)法におけるカーボンプライシング制度の導入に関して、制度設計の妥当性、特に炭素価格の水準設定、排出量取引制度における排出枠の割当方法を中心に質問を行い、政府側の答弁を求めています。本質疑は、経済成長と排出削減の両立を目指す上で、カーボンプライシング制度が果たすべき役割と、その具体的な制度設計における課題を明らかにすることを目的としています。
2. 主題・主張
森議員は、国の温室効果ガス排出量削減目標と整合的なカーボンプライシング制度の設計を強く主張しています。特に、カーボンプライシング制度が、緩すぎれば実効性を失い、厳しすぎれば産業や経済、国民生活に悪影響を及ぼすという認識のもと、排出量取引制度における排出枠の割当方法や、炭素負荷金における価格水準の設定が重要であると訴えています。
- カーボンプライシング導入にあたって、予見可能性の高い制度設計が不可欠である。
- 排出量取引制度において、排出枠の割当方法が制度の成否を大きく左右する。
- 炭素価格の下限価格設定において、既存のJクレジット制度の取引価格を参考にすべきである。
3. 重要な論点
- 炭素価格の水準設定: 森議員は、カーボンプライシングによる脱炭素投資の財源確保という足元の目的を踏まえつつ、将来的な炭素価格の水準について具体的な金額を政府に問い質しました。これに対し、政府側は、GX投資の進捗、世界経済の動向、技術開発の動向など不確実な要素が多いことを理由に、具体的な価格水準の提示を避けましたが、民間のシンクタンクによる試算例(2040年でトン当たり7000円から1万円)を参考に検討していく姿勢を示しました。
- 排出量取引制度における排出枠の割当方法: 排出量取引制度の成否を左右する排出枠の割当方法について、森議員は、上限価格・下限価格の設定基準を質問しました。政府側は、GX投資の促進、国民生活・産業への影響、諸外国の価格水準、東京証券取引所でのカーボンクレジットの価格推移などを考慮し、産業構造審議会で議論すると回答しました。また、ベンチマーク方式とグランドファザリング方式の適用基準について質問し、多排出産業に対してはベンチマーク方式を原則とすることが示されました。
- NDC目標と排出量取引制度の整合性: 森議員は、国のNDC(温室効果ガス削減目標)と排出量取引制度における排出量割当が整合していない点を指摘し、政府の考えを問いました。武藤国務大臣は、NDCは野心的な目標であり、排出量取引制度だけでなく、あらゆる対策・施策を総動員して取り組む必要があると答弁しました。また、排出枠の割当は、現時点での脱炭素技術の実装状況などを踏まえて行うため、NDCと直接紐づくものではないと説明しました。環境省政務官は、NDC実現に向け、GX2020ビジョンに基づき排出削減状況等を常時確認し、制度の見直しを実施していくと回答しました。
4. 結論と展望
結論
本質疑では、カーボンプライシング制度の導入にあたり、炭素価格の水準設定、排出枠の割当方法、NDC目標との整合性といった重要な課題が浮き彫りになりました。政府は、経済成長と排出削減の両立を目指す上で、慎重な制度設計を行う必要があることを改めて認識させられました。
今後の展望
今後は、産業構造審議会における議論を通じて、具体的な制度設計の詳細が決定されていくと予想されます。特に、炭素価格の下限価格、排出枠の割当基準、ベンチマークの強度などについて、より具体的な議論が求められます。また、NDC目標の達成状況に応じて、排出量取引制度の見直しが行われる可能性もあります。
具体的なアクションポイント:
- 産業構造審議会における議論の透明性を確保する。
- 排出量取引制度の導入効果を定期的に評価し、必要に応じて制度を改善する。
- 国際的な動向を注視し、カーボンプライシング制度の国際的な整合性を高める。
5. 評価
本質疑は、カーボンプライシング制度の導入に向けた議論を深める上で非常に重要です。特に、制度設計の具体的な内容について、政府と国会が意見交換を行うことで、より実効性の高い制度の実現につながることが期待されます。本質疑の内容は、企業、研究者、政策担当者など、カーボンプライシングに関わる幅広い関係者にとって有益な情報源となるでしょう。
用語説明
- カーボンプライシング: 炭素の排出に価格付けをする政策の総称。排出量取引や炭素税など、様々な類型が存在する。
- 排出量取引制度: 温室効果ガスの排出量に上限(キャップ)を設け、企業間で排出枠を取引する制度。
- NDC (Nationally Determined Contribution): 各国が決定する温室効果ガス排出削減目標。パリ協定に基づいて各国が提出する。
※AIによる自動要約のため、誤りを含む場合があります。