質疑者：榛葉 賀津也
目次
3行要約
- 榛葉議員は、外国資本による日本の土地買収の実態把握と対策の必要性を、経済安全保障の観点から辻副大臣に追及。
- 辻副大臣は重要土地調査法に基づく調査状況を説明するも、指定区域外の土地買収の実態把握は不十分であることを認め、今後の検討課題とする。
- 榛葉議員は、省庁横断的な情報収集と対策を強く求め、外国人の土地取得に関する資料提出と、WTO協定との関連について今後の議論を要求。
1. 概要
日本の土地が外国人に買い漁られている現状に対する政府の認識と対策を質すことを目的としている。審議では、土地所有の現状、関連法案、安全保障上の懸念などが議論された。
2. 主題・主張
榛葉議員は、外国人による日本の土地の買い漁り、特に重要土地以外の土地の取得状況に対する政府の把握不足を問題視し、経済安全保障上のリスクを訴えている。現状把握の遅れを批判し、省庁横断的な情報収集と対策の必要性を主張している。
- 外国人による土地取得の実態把握の遅れ
- 経済安全保障上のリスクに対する認識の甘さ
- 省庁横断的な情報共有と対策の必要性
3. 重要な論点
- 外国人による日本の土地所有の現状:
- 政府は重要土地等調査法に基づき、重要施設周辺の土地取得状況を調査している。令和5年度の中止区域内における土地建物の取得総数は16862筆個であり、外国人または外国系法人による取得は371筆個（2.2%）である。
- 榛葉議員は、重要都市以外の土地の取得状況、特に中国人をはじめとする外国人の買い漁りに対する政府の把握不足を指摘。北海道のニセコ、フラノ、軽井沢、沖縄の島などで、リゾート地や飛行場、ダム周辺などの重要な土地が外国資本によって買われている現状を訴えた。
- 経済安全保障上のリスク:
- 外国人による土地取得は、安全保障上のリスクを高める可能性がある。特に、自衛隊基地周辺や重要インフラの近隣の土地取得は、情報漏洩や妨害工作のリスクにつながる。
- 榛葉議員は、沖縄の離島である柳川島が中国資本によって半分買収された事例を挙げ、名護市辺野古のキャンプシュワブまで直線距離で43キロという近さから、安全保障上の懸念を示した。
- 法整備と対策の遅れ:
- 政府は重要土地等調査法に基づき調査を進めているが、同法は施行から5年後の令和9年に見直しが予定されており、榛葉議員は「令和9年まで待てたらどんどん変われちゃうよ」と、対策の遅れを批判した。
- 榛葉議員は、自治体や不動産業者のアセットを活用すれば、より詳細な情報把握が可能であると主張し、早急な対策を求めた。また、WTO協定の一部のサービスの貿易に関する一般協定（GATS）を理由に、現状を変えられないことに対する問題提起を行った。
4. 結論と展望
結論
外国人による日本の土地の買い漁りは、経済安全保障上のリスクを高める可能性があり、政府は現状把握と対策を急ぐ必要がある。特に、重要土地以外の土地の取得状況に対する情報収集と、省庁横断的な連携が不可欠である。
今後の展望
政府は、重要土地等調査法の見直しを早め、外国人による土地取得に関する規制を強化する必要がある。また、自治体や不動産業者との連携を強化し、より詳細な情報収集を行うべきである。国民への情報公開を進め、理解と協力を得ることも重要となる。
5. 評価
本議論は、日本の経済安全保障における重要な課題を提起している。外国人による土地取得は、単なる経済活動ではなく、安全保障上のリスクを伴う可能性があることを認識する必要がある。政府は、本議論を踏まえ、早急かつ具体的な対策を講じるべきである。 本内容の活用シーンとしては、今後の国会審議や政策立案における参考資料、国民への啓発活動などが考えられる。留意点としては、外国人排斥につながるような不当な差別や偏見を助長しないように、客観的な情報に基づいた議論を行う必要がある。
用語説明
- 重要土地等調査法: 防衛関係施設や原子力発電所など、安全保障上重要な施設の周辺区域における土地利用状況を調査し、機能阻害行為を防止するための法律。
- サラミ作戦: 少しずつ領土や権益を侵食していく戦略。本件では、重要都市以外の土地を少しずつ買い進めていくことで、最終的に重要な地域を支配しようとする意図を指す。
- GATS（サービスの貿易に関する一般協定）: WTO（世界貿易機関）協定の一部で、サービス貿易の自由化を促進するための国際的な枠組み。本件では、GATSが外国人の土地取得を制限する上での障壁となっている可能性が示唆されている。
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